「知る」の謙譲語は?存じる・存じ上げるの違いと誤用を2026年版で徹底解説
「知る」の謙譲語は何だろう、とビジネスメールや目上の人との会話で迷ったことはありませんか。「存じる」「存じ上げる」「承知する」は、いずれも知識や理解に関係する表現ですが、意味や使える場面は同じではありません。相手が人物なのか、情報や事情なのかによって、自然な敬語表現は変わります。
さらに、「お知りする」「ご存知する」といった誤用や、「知る」の尊敬語・丁寧語との混同にも注意が必要です。文化庁の「敬語の指針」や、TRANS.Biz、マイナビニュース、3秒敬語などの敬語解説を踏まえ、2026年のビジネスシーンでも役立つ使い分け、具体的な例文、失礼にならない言い換えを整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「知る」の代表的な謙譲語は「存じる」「存じ上げる」。人物を知っている場合は「存じ上げる」が基本です。
- 要点2:「承知する」は、事情や依頼内容を理解・了承していることを伝える表現です。「存じる」とは意味が異なります。
- 要点3:「お知りする」「ご存知する」は一般的な敬語表現として不適切です。尊敬語の「ご存じですか」と混同しないようにしましょう。
【まず結論】「知る」の謙譲語は「存じる」「存じ上げる」
「知る」の謙譲語として、まず覚えておきたいのが「存じる」と「存じ上げる」です。どちらも自分側の知識や認識をへりくだって表現する際に使います。ただし、対象や文脈によって自然な選択は異なります。
「存じる」は情報・事柄・考えについて使う
「存じる」は、「知る」や「思う」をへりくだって表す言葉です。仕事の進捗、会議の内容、制度の変更点など、情報や事柄について知っていることを伝える場合に適しています。また、「思う」の意味でも使われるため、文脈によっては意見や見解を控えめに述べる表現になります。
例文1:情報を知っている場合
「その件につきましては、以前から存じております。」
例文2:予定や事情を知っている場合
「来月の制度変更については、すでに存じております。」
例文3:自分の考えを伝える場合
「そのように進めるのが適切かと存じます。」
このように、「存じる」は「知っています」を丁寧に言い換える場合だけでなく、「思います」を改まった表現にする場合にも使えます。ただし、情報について尋ねられたときと、自分の意見を述べるときでは意味が異なるため、前後の文脈を明確にすることが大切です。
「存じ上げる」は人物を知っている場合に使う
「存じ上げる」は、「知る」の謙譲語である「存じる」に「上げる」を組み合わせた表現です。特に、人を知っていることや、その人物について認識していることを伝える際に使われます。
例文1:取引先の担当者を知っている場合
「田中様のことは、以前から存じ上げております。」
例文2:相手の名前を知らなかった場合
「お名前を存じ上げず、大変失礼いたしました。」
例文3:人物について尋ねられた場合
「はい、鈴木様のことは存じ上げております。」
ポイントは、「存じ上げる」を単純に「存じるより敬意が強い言葉」とだけ理解しないことです。両者の使い分けでは、敬意の強さだけでなく、何を知っているのかが重要になります。人物を対象にする場合は「存じ上げる」、情報や事柄を対象にする場合は「存じる」を基本にすると、自然な表現を選びやすくなります。

【一覧表】「存じる」「存じ上げる」「承知する」の使い分け
「知る」の謙譲語を調べると、「存じる」「存じ上げる」「承知する」の3つがよく挙げられます。しかし、3つを同じ意味の言い換えとして使うと、かえって不自然な文章になることがあります。まずは対象と伝えたい内容を整理しましょう。
| 表現 | 主な意味・対象 | ビジネスでの例文 | 使う際の注意点 |
|---|---|---|---|
| 存じる | 情報・事柄を知っている、自分の考えを述べる | 「その件は存じております」 | 人物そのものを知っている場合は「存じ上げる」が自然 |
| 存じ上げる | 人物を知っている、人物について認識している | 「ご担当者様のことは存じ上げております」 | 単なる情報の把握には「存じる」などを使い分ける |
| 承知する | 事情・内容を理解する、依頼や指示を受け入れる | 「ご依頼の件、承知いたしました」 | 単に人物や事実を知っているという意味では使わない |
| ご存じですか | 相手が知っているかを尋ねる尊敬語 | 「こちらの変更点をご存じでしょうか」 | 自分の知識をへりくだる表現ではない |
| 知っています | 知識や認識を丁寧に伝える | 「その内容は知っています」 | 丁寧語だが、相手や場面によっては「存じております」が適切 |
「承知する」は「知っている」と完全に同じではない
「承知する」は、事情や内容を理解していることに加え、依頼や指示を受け入れたことを伝える場合にも使われます。ビジネスで「承知いたしました」と返答するのは、相手の依頼内容を理解し、引き受けたことを示すためです。
自然な例文:「資料の修正について、承知いたしました。明日までに対応いたします。」
一方、「私はその作家を知っています」と伝えたい場面で「私はその作家を承知しております」とすると、一般的な人物紹介の文脈では不自然に響くことがあります。人物を知っているなら「存じ上げております」、依頼内容を理解したなら「承知いたしました」と、意味に応じて使い分けましょう。
マイナビニュースの敬語解説でも、「知る」の謙譲語と、事情を理解していることを示す「承知する」は区別して説明されています。ビジネス敬語では、丁寧に聞こえる言葉を選ぶだけでなく、伝えたい内容が正確に伝わるかどうかが判断の基準になります。
【例文集】ビジネスで失礼にならない「知る」の言い換え
敬語は、正しい形を知っているだけでは十分ではありません。メール、会議、電話、取引先とのやり取りでは、相手との関係や伝える目的に合わせて表現を選ぶ必要があります。ここでは、実際の仕事で使いやすい例文を場面別に紹介します。
1.取引先の情報を知っていると伝える
例文:「その件につきましては、以前より存じております。」
案件の背景や制度、業務上の情報について知っている場合に使える表現です。「知っています」よりも改まった印象になり、社外向けのメールや会議でも使いやすい言い回しです。
ただし、相手が初めて説明した内容に対して「存じております」と返すと、すでに知っていたことを強調する印象になる場合があります。相手の説明を受けた直後なら、「ご説明ありがとうございます。内容を承知いたしました」と返すほうが自然なこともあります。
2.目上の人や著名人を知っていると伝える
例文:「〇〇様のことは、以前から存じ上げております。」
人物について知っている場合は「存じ上げる」を使います。取引先の担当者、紹介された人物、仕事上で関わる相手について述べる場面に適しています。
一方、相手の名前や経歴を知らなかった場合は、「存じ上げませんでした」と伝えられます。ただし、面識がないことを強調したいなら、「直接お目にかかったことはございません」といった表現のほうが、誤解を招きにくい場合もあります。
3.依頼や指示を理解したと伝える
例文:「ご依頼の内容、承知いたしました。」
「承知いたしました」は、仕事の指示、納期の変更、資料の修正依頼などに対する返答として便利です。「承知しました」も正しい表現ですが、社外の相手や改まったメールでは「承知いたしました」を選ぶと、より丁重な印象になります。
なお、理解したことと、実際に対応できることは別です。納期や条件に問題がある場合は、無条件に「承知いたしました」と答えるのではなく、「内容は承知いたしました。納期については、改めてご相談させてください」と伝えると、誤解を防げます。
4.知らない情報について丁寧に答える
例文:「申し訳ございません。その件については存じておりません。」
「知らない」と伝える際は、否定形の「存じません」「存じておりません」が使えます。人物について知らない場合は、「〇〇様のことは存じ上げません」とするのが基本です。
ただし、「存じません」は、相手や話題によっては突き放した印象を与えることがあります。業務上の質問に答えられない場合は、「申し訳ございません。現時点では詳細を把握しておりません。確認のうえ、ご連絡いたします」とすると、丁寧さに加えて次の対応も伝えられます。
5.意見や見解を控えめに述べる
例文:「現状では、その方法が最適かと存じます。」
この場合の「存じます」は、「知っています」ではなく「思います」に近い意味です。断定を避けながら、自分の見解を丁寧に伝えたいときに適しています。
ただし、責任ある判断が求められる場面では、曖昧な表現を重ねすぎないことも大切です。自分の判断を明確に示したい場合は、「こちらの方法が最適と考えております」と言い換えることもできます。

【混同注意】「知る」の尊敬語・丁寧語と謙譲語の違い
「知る」の敬語で迷いやすい理由は、尊敬語・謙譲語・丁寧語が、それぞれ異なる役割を持っているためです。文化庁の「敬語の指針」では、敬語を複数の種類に分け、誰の行為をどのように表現するかという観点から整理しています。
謙譲語は自分側をへりくだって表現する
謙譲語は、自分側の行為や知識などをへりくだって述べることで、相手や行為の向かう先を立てる表現です。「存じる」「存じ上げる」は、自分が知っていることを改まって伝える際に使います。
例えば、「その事情は知っています」を「その事情は存じております」とすると、自分の認識をへりくだった形で伝えられます。
尊敬語は相手や第三者の行為・状態を高める
尊敬語は、相手や立てるべき第三者の行為、状態などを高めて表現する敬語です。「知る」の尊敬語としては、「ご存じだ」「ご存じです」「お知りになる」などが挙げられます。
例文:「部長は、今回の変更についてご存じでしょうか。」
これは、部長が変更について知っているかを尋ねる表現です。自分が知っていることを伝える「存じております」とは、敬意を向ける対象が異なります。
丁寧語は相手に対して文章や発話を丁寧にする
丁寧語は、「です」「ます」などを使い、聞き手や読み手に対して丁寧に述べる表現です。「知っています」「知りました」は丁寧語に当たりますが、必ずしも謙譲語ではありません。
例えば、社内の同僚には「その件は知っています」で十分な場面もあります。一方、取引先へのメールでは「その件につきましては、存じております」とすると、より改まった表現になります。
なお、丁寧な表現と謙譲語は両立します。「存じております」は、謙譲語の「存じる」に、丁重な表現の「おる」と丁寧語の「ます」を組み合わせた形です。単に「ます」を付ければ、すべての場面で十分な敬意を示せるわけではありません。
【誤用を検証】「お知りする」「ご存知する」はなぜ間違い?
「知る」の敬語を調べると、「お知りする」「ご存知する」といった表現を目にすることがあります。しかし、これらは標準的なビジネス敬語としては適切ではありません。正しい表現を覚えるには、単に形を暗記するだけでなく、言葉の仕組みを理解することが役立ちます。
「お知りする」は一般的な謙譲語として使わない
「お知りする」は、「知る」に「お」と「する」を付けた形ですが、一般的な謙譲語として定着していないため、不自然な表現です。「知っている」と伝えたいなら「存じております」、事情を理解したと伝えたいなら「承知しております」などに言い換えましょう。
ここで注意したいのは、「お」を付けること自体が、すべて誤りというわけではない点です。文化庁の敬語解説では、「お待ちする」「ご案内する」のように、自分側の行為であっても、相手を立てる謙譲語として「お・ご」を用いる形が説明されています。
つまり、「お知りする」が不適切なのは、「お」が謙譲語に使えないからではありません。「知る」には「存じる」「存じ上げる」という定着した表現があり、「お知りする」は通常の敬語表現として自然ではないためです。
「ご存知する」は尊敬語と混同した誤用
「ご存知」は、相手や第三者が知っていることを表す尊敬表現です。「その件をご存じですか」「ご存じのとおり」といった使い方をします。
一方、「ご存知する」とすると、相手側の知識を高める表現と、自分側の行為を表す「する」が混ざってしまいます。自分が知っていることを伝えるなら「存じております」、人物を知っていることを伝えるなら「存じ上げております」とするのが自然です。
3秒敬語などの敬語解説でも、「お知りする」「ご存知する」は注意すべき誤用として取り上げられています。ただし、「お」が付いているかどうかだけで正誤を判断するのではなく、誰の行為・状態を表しているのかを考えることが、敬語を正しく使うための基本です。
「了解しました」は必ず失礼なのか
関連する誤解として、「了解しました」は目上の人に使うと必ず失礼だ、という考え方があります。しかし、言葉の適否は相手との関係や職場の慣習、会話の状況によっても変わります。
取引先や顧客への返答で迷った場合は、「承知しました」「承知いたしました」を選ぶと無難です。重要なのは、特定の言葉を機械的に禁止することではなく、相手への敬意と、依頼を受け入れたのか・内容を理解したのかという意味を明確にすることです。

【知る謙譲語】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「知る」の謙譲語は「存じる」と「存じ上げる」のどちらですか?
A1:どちらも「知る」の謙譲語ですが、使い分けがあります。情報や事柄について知っている場合は「存じる」、人物を知っている場合は「存じ上げる」を基本にしましょう。
Q2:「承知しております」と「存じております」は同じ意味ですか?
A2:完全に同じではありません。「存じております」は、情報や事柄を知っていることを表します。「承知しております」は、事情や内容を理解していることを表す場合に適しています。依頼や指示を受け入れたことを伝えるなら「承知いたしました」が自然です。
Q3:「ご存知ですか」は自分に対しても使えますか?
A3:自分の知識をへりくだって伝える表現としては使いません。「ご存じですか」は相手や第三者が知っているかを尋ねる尊敬語です。自分が知っているなら「存じております」、人物について知っているなら「存じ上げております」と表現します。
Q4:「存じ上げません」と「存じません」はどう違いますか?
A4:「存じ上げません」は、人物を知らない場合に使うのが基本です。「存じません」は、情報や事柄について知らない場合に使えます。例えば、「その制度については存じません」「その方のことは存じ上げません」と使い分けます。
Q5:「お知りする」「ご存知する」はなぜ誤用なのですか?
A5:「お知りする」は一般的な謙譲語として定着しておらず、「ご存知する」は尊敬表現の「ご存じ」と自分側の行為を表す「する」が混ざった不自然な形だからです。「存じる」「存じ上げる」「承知する」など、伝えたい意味に合う表現を選びましょう。
まとめ:「知る」の謙譲語は意味と相手に合わせて選ぶ
「知る」の謙譲語を使い分ける際は、「存じる」「存じ上げる」「承知する」を同じ意味の言葉として扱わないことが大切です。情報や事柄について知っているなら「存じております」、人物を知っているなら「存じ上げております」、依頼や指示を理解して受け入れたなら「承知いたしました」と使い分けると、自然で伝わりやすいビジネス敬語になります。
また、相手が知っているかを尋ねる場合は「ご存じですか」、自分の知識を丁寧に伝える場合は「存じております」と、尊敬語と謙譲語の方向性を意識しましょう。「お知りする」「ご存知する」といった表現を避けるだけでなく、なぜ不自然なのかを理解しておけば、似た形の敬語に出会ったときにも判断しやすくなります。
【プロの結論】 敬語で失礼にならないための判断基準は、言葉を必要以上に長くすることではありません。誰が知っているのか、何を知っているのか、相手に何を伝えたいのかを整理し、その意味に合う表現を選ぶことです。迷ったときは、人物なら「存じ上げる」、情報なら「存じる」、依頼への返答なら「承知いたしました」という基本に立ち返りましょう。 (出典: 知る 謙譲 語(Yahoo!ニュース))