国際霊柩送還士とは?資格・年収・費用と『エンジェルフライト』の実態を徹底解説
海外で家族が亡くなったとき、故人を日本へ連れ帰り、家族のもとで最後のお別れをするために動く専門家がいます。それが「国際霊柩送還士(こくさいれいきゅうそうかんし)」です。遺体の搬送だけでなく、現地の警察や病院、葬儀社、日本大使館・総領事館、航空会社などとの調整を担い、国境を越えた複雑な手続きを進めます。
2026年は、佐々涼子氏のノンフィクションを原作とする『エンジェルフライト』の映画版が2月13日にPrime Videoで配信され、職業への関心が高まる契機となりました。しかし、国際霊柩送還士という名称の国家資格はなく、年収や採用条件にも職場による違いがあります。仕事内容、就職ルート、海外からの遺体送還にかかる費用、エンバーミングとの違いまで、2026年10月時点の公表情報をもとに整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 仕事内容:海外で亡くなった人を故国へ送り届けるため、遺体の処置、書類作成、関係機関との調整、空輸、遺族への引き渡しなどを支える。
- 資格・就職:国際霊柩送還士の国家資格はない。未経験から目指せる可能性はあるが、語学力、事務処理能力、運転免許などが役立つ。
- 年収・給料:職種単独の公的な平均年収はない。厚生労働省の関連職業統計は参考になるが、その数字を国際霊柩送還士の平均年収とみなすことはできない。
- 海外遺体搬送の費用:海外から日本への遺体搬送は、一般的な目安として約100万〜150万円。国や状況によっては、それ以上になる。
- 作品と現実:『エンジェルフライト』は実在する仕事を題材にした作品。実務には、劇的な場面だけでなく、法的手続きや書類確認、待機、関係者との地道な調整も多い。
【国際霊柩送還士とは?遺体を運ぶだけではない仕事内容】
国際霊柩送還士とは、海外で亡くなった日本人を日本へ、日本で亡くなった外国人を母国へ送り届ける「国際霊柩送還」に携わる専門職です。海外での死亡に伴う手続きや遺体の保全、国際輸送、到着後の引き渡しまで、複数の業務をつなぐ役割を果たします。
この仕事を知るうえで重要なのが、単に遺体を飛行機に載せればよいわけではないという点です。死亡した国と搬送先の国では、必要な証明書、遺体の取り扱い、棺の仕様、航空貨物としての受け入れ条件などが異なります。現地で事件性の確認や司法解剖が行われる場合には、関係当局の手続きが終わるまで搬送を進められないこともあります。
主な仕事内容は、次のように整理できます。
- 現地関係者との連絡・調整:病院、警察、現地の葬儀社、保管施設、行政機関などと連絡を取り、遺体を引き取れる状態にする。
- 必要書類の確認:死亡証明書、搬送許可に関する書類、防腐処置の証明書などを確認し、必要に応じて翻訳や認証の手配を行う。
- 遺体の保全と納棺:搬送条件に応じて専門の処置や納棺、梱包を手配する。
- 航空輸送の手配:航空会社や現地業者と調整し、貨物としての受け入れ条件、輸送日程、到着空港などを確定する。
- 日本到着後の受け入れ:通関や国内搬送を調整し、遺族や葬儀社へ故人を引き渡す。
- 遺族への対応:費用、日程、手続きの見通しを説明し、突然の訃報に直面した家族を支える。
外務省の「海外で家族が亡くなった場合」に関する案内でも、まず現地関係当局の法的手続きに従い、その終了後に日本への搬送が可能になると説明されています。在外公館は、遺体の火葬や日本への搬送について助言や情報提供を行います。
つまり、国際霊柩送還士は、葬祭実務、国際物流、書類手続き、異文化理解、遺族対応を組み合わせる仕事です。現場で遺体を扱う技術だけでなく、複数の関係者をつなぎ、手続きを正確に進める調整力も欠かせません。

【国家資格は必要?国際霊柩送還士になるための現実的なルート】
国際霊柩送還士になるために必須とされる国家資格はありません。国際霊柩送還士という名称そのものが、独立した国家資格として制度化されているわけではないためです。
ただし、国家資格がないことと、専門知識が不要であることは別です。実際の業務では、遺体の取り扱い、感染対策、航空輸送の条件、国ごとの手続き、葬祭の慣習などを理解する必要があります。担当する範囲によっては、語学力や車両の運転、遺体の衛生保全に関する専門技術も求められます。
未経験から目指す3つのルート
1.葬儀社や遺体搬送会社に就職する
もっとも現実的な入口の一つです。国内の遺体搬送、寝台車の運転、納棺補助、遺族対応などを経験し、葬祭業務の基本を身につけます。その後、国際搬送を扱う会社や専門部署への転職を目指す方法があります。国内搬送の経験が、すべての国際搬送業務に直結するわけではありませんが、遺体の取り扱いと遺族への配慮を学ぶ機会になります。
2.国際搬送を扱う専門会社に応募する
海外搬送の実務を行う会社で、書類作成、海外とのメールや電話、航空会社との調整、現地業者への依頼などを担当するルートです。採用条件は会社によって異なりますが、普通自動車運転免許、基本的なパソコン操作、英語などの語学力が役立つ場合があります。必ずしも全員が現場で遺体の処置をするわけではなく、調整や事務を中心に担う職務も考えられます。
3.エンバーマーの専門教育を受ける
遺体の衛生保全や修復処置を専門に学ぶ方法です。国際搬送に関わる仕事のうち、エンバーミングの技術を身につけたい人に向いています。ただし、エンバーマーを目指すことと、国際霊柩送還士として働くことは同じではありません。国際搬送の仕事に就くために、全員がエンバーマーの養成課程を修了する必要があるわけではありません。
「日本遺体衛生保全協会の資格」は国家資格なのか
一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)は、エンバーミングの適正な実施と普及を目的とする団体です。同協会の案内によると、認定養成校の一つである日本ヒューマンセレモニー専門学校のエンバーミング学科は、修業年限2年の課程を設けています。卒業後にIFSA認定エンバーマーの資格認定試験を受け、合格することで資格を取得する仕組みです。
これは国際霊柩送還士の国家資格ではなく、エンバーマーに関する民間団体の認定資格です。IFSAの案内では、この資格は同協会加盟企業のエンバーミングセンターで就職する場合に有効・必要とされています。資格の対象となる業務と、応募先が求める条件を分けて確認することが大切です。
【国際遺体搬送の流れと必要書類】海外から日本へどう送り届ける?
海外で亡くなった人を日本へ搬送する際は、死亡した国の法制度と、航空輸送・日本側の受け入れ条件を満たす必要があります。国や地域によって必要書類や手順が異なるため、以下は一般的な流れとして理解してください。
ステップ1:死亡確認と現地当局の手続き
まず、現地の医師などによる死亡確認と死亡証明書の取得を進めます。事故や事件などの場合には、警察の捜査や司法解剖が関係することもあります。遺体を引き取る許可が出るまでは、搬送の準備を進められても、実際の引き取りや出国ができない場合があります。
ステップ2:日本大使館・総領事館への相談
滞在国を管轄する日本大使館または総領事館に連絡し、必要な手続きについて助言を受けます。外務省は、現地の法的手続きが終了してから搬送が可能になること、在外公館が搬送に関する情報提供を行うことを案内しています。実際の輸送手配や費用の負担は、原則として遺族側が現地の葬儀社や搬送業者などと調整する必要があります。
ステップ3:遺体の処置・納棺と輸送書類の準備
航空会社や現地の規則に応じて、遺体の衛生保全、納棺、梱包などを行います。必要書類には、死亡証明書、防腐処置の証明書、非感染証明書、搬送許可に関する書類などがあります。パスポートの写しや翻訳文書が必要になる場合もありますが、書類の種類や名称は国ごとに異なります。
例えば、在アメリカ合衆国日本国大使館は、航空機で遺体を搬送する場合の案内として、米当局発行の死亡証明書、非感染証明書、防腐証明書などを挙げ、具体的な条件について葬儀社や航空会社への確認を促しています。在タイ日本国大使館の案内では、現地の死亡登録証への記載、搬送業者への委託、遺体証明書の申請、納棺や通関などの手続きが説明されています。
ステップ4:航空輸送、日本到着、国内搬送
必要書類と輸送条件が整ったら、航空貨物としての輸送を手配します。到着後は所定の通関手続きなどを経て、国内の搬送業者や葬儀社が遺体を引き受け、遺族の希望する場所へ届けます。日本に帰国した後には、死亡届などの行政手続きも必要です。
在外公館を通じた死亡届の提出では、戸籍への反映に時間がかかる場合があります。在アメリカ合衆国日本国大使館の案内では、死亡届の提出期限は死亡の事実を知った日から3か月以内とされ、戸籍への記載には通常1か月から1か月半程度かかる旨が説明されています。搬送の日程と行政手続きの日程は、分けて考える必要があります。
実務上の注意点は、書類が一つ不足するだけでも搬送日程が変わり得ることです。 現地の死亡登録証、航空会社が指定する書類、搬送先国の条件がそろっているかを、担当業者と一つずつ確認することが重要です。

【海外から日本への遺体送還費用はいくら?2026年の相場】
海外で亡くなった家族を日本へ搬送する費用は、一般的な目安として約100万〜150万円と案内されることがあります。ただし、これは一律料金ではありません。出発国、搬送距離、航空貨物運賃、現地の保管期間、遺体の状態、必要書類、処置の内容などによって総額が変わります。地域や事情によっては150万円を大きく上回る場合もあります。
葬儀関連事業者が公表している料金情報を整理すると、主な費用項目は次のとおりです。
| 費用項目 | 公表情報に見られる目安 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 海外から日本への搬送総額 | 約100万〜150万円 | 国・地域、航空運賃、保管期間、必要書類などで変動 |
| 航空貨物運賃 | 約15万〜50万円 | 出発地、輸送距離、燃油サーチャージ、貨物条件など |
| 手続き代行・納棺・梱包など | 約50万〜70万円 | 現地業者の費用、書類作成、棺、空港への搬送などの範囲 |
| エンバーミング | 約15万〜30万円 | 処置の内容、遺体の状態、証明書の発行費用など |
※費用の目安は葬儀関連事業者などが公表する一般的な案内をもとに整理したものです。各項目の金額は同一業者の統一料金ではなく、必ずしも単純合算できるものではありません。正式な総額は個別の見積もりで確認してください。
「基本料金」と「最終的な総額」は別物
例えば、帝都典礼が公表する海外搬送サービスでは、海外で亡くなった人を日本へ搬送する場合の基本パッケージ料金が38万5,000円(税込)からとされています。一方、航空運賃や通関手数料、追加の保管料、国内搬送費など、別途費用が発生する項目も案内されています。
また、PDR West Japanが公表する料金案内では、基本パッケージ50万円、エンバーミング処置21万円からとされ、航空運賃や国内搬送費、保管料、法的書類の作成・提出費用などが別途必要になると説明されています。サービスの対象や含まれる項目が異なるため、基本料金だけで業者間の価格を比較するのは適切ではありません。
費用を確認するときの4つのポイント
- 見積もりの総額:航空運賃、現地費用、国内搬送費、保管料まで含まれているか。
- 書類関連の費用:翻訳、認証、大使館への申請、現地業者への手数料が別料金か。
- 遅延時の追加料金:捜査や書類取得に時間がかかった場合、保管料や再手配費用がどうなるか。
- 海外旅行保険の補償範囲:遺体搬送費用や遺族の渡航費用などが補償対象となるか、保険会社に確認する。
海外で家族が亡くなった場合、遺体を日本へ送還する方法だけでなく、現地で火葬して遺骨を持ち帰る方法も検討できます。どちらが可能か、どちらを選ぶかは、現地の法制度、遺族の希望、宗教・文化的な事情、費用などによって異なります。まず現地の日本大使館・総領事館と保険会社に連絡し、専門業者から具体的な見積もりを取ることが現実的です。
【年収・給料と未経験求人の探し方】国際霊柩送還士は稼げる仕事なのか
国際霊柩送還士だけを対象にした、公的な平均年収統計はありません。そのため、インターネット上で見かける特定の年収額を、職種全体の平均として受け取るのは避けるべきです。
参考になるのは、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」に掲載された関連職業の統計です。2025年の賃金構造基本統計調査をもとにした葬祭ディレクターの賃金(年収)は全国402.7万円、2025年度のハローワーク求人賃金(月額)は全国平均24.2万円とされています。ただし、統計上の職業分類には葬祭ディレクター以外の関連職種も含まれ、国際霊柩送還士だけの給料を示す数値ではありません。
国際搬送を扱う会社の給与は、職務の範囲や会社規模、経験、語学力、夜間・休日対応の有無などで変わります。現場での搬送、海外との調整、書類作成、エンバーミングなど、どの仕事を担うかによっても待遇は異なります。
未経験から応募できる求人はある?
未経験者を受け入れる搬送スタッフの求人は存在します。例えば、2026年7月に受理された香川県のハローワーク求人では、遺体搬送スタッフについて経験不問、研修ありと記載されていました。ただし、これは国内の遺体搬送スタッフの求人であり、国際霊柩送還士の採用条件を直接示すものではありません。
国際搬送の求人は、募集人数や採用時期が限られる可能性があるため、職種名だけで検索対象を狭めないことが大切です。次のような名称も含めて探すと、関連する仕事を見つけやすくなります。
- 国際遺体搬送スタッフ
- 海外搬送・国際搬送の業務担当
- ご遺体搬送スタッフ
- 葬祭スタッフ・納棺補助
- エンバーマー
応募先を選ぶ際は、仕事内容の欄に海外搬送が含まれているかを確認しましょう。国内搬送だけの仕事と、国際輸送の手続きまで担う仕事では、必要な知識や勤務形態が異なります。
求人票で確認したい条件
- 応募資格:普通自動車運転免許、語学力、パソコン操作、実務経験の要否。
- 勤務時間:夜間や休日の緊急対応、待機勤務、海外との時差による連絡の有無。
- 給与体系:基本給、賞与、残業代、宿直・待機手当、出張手当の扱い。
- 研修制度:遺体の取り扱い、感染対策、書類手続き、遺族対応を学ぶ機会があるか。
- 担当範囲:現場作業、海外との折衝、書類作成、遺族対応のうち、どの業務を担うのか。
「専門性が高いから高収入」とは限りません。夜間対応や突発的な出動が多くても、手当の仕組みが十分でなければ、業務負担と収入が釣り合わない可能性があります。年収の数字だけでなく、実際の勤務時間、休日、待機の頻度、手当の支給条件まで比較することが重要です。

【エンバーミングとの違いと仕事の大変さ】向いている人・向いていない人
国際霊柩送還士とエンバーマーは、密接に関係するものの、同じ職業ではありません。国際霊柩送還士が国境を越えた搬送全体の調整を担う職種であるのに対し、エンバーマーは遺体の衛生保全や修復などの専門技術を担う人です。
エンバーミングとエンバーマーの違い
エンバーミングとは、遺体の防腐・殺菌・衛生保全などを目的として行う専門的な処置です。搬送に時間がかかる場合や、遺族が故人と対面するまでの状態を保つ必要がある場合などに、所定の条件に応じて実施されます。具体的な処置の内容は、遺体の状態や適用されるルールによって異なります。
エンバーマーは、そのエンバーミングを専門的に行う人を指します。遺体の状態を確認し、衛生保全や必要な修復を施す技術が求められます。一方、国際霊柩送還士は、必ずしも自らエンバーミングを実施するわけではなく、専門施設や現地業者への依頼、搬送全体の進行管理を担う場合もあります。
なお、エンバーミングは、顔色を整えたり化粧を施したりするだけの処置とは異なります。見た目を整える作業が含まれることはありますが、衛生保全を目的とする専門技術であり、両者を混同しないことが大切です。
仕事が大変だといわれる理由
1.精神的な負担が大きい
事故や事件、突然の病気などで亡くなった人を扱う場面があります。遺族は強い悲しみや混乱のなかにいるため、相手の気持ちを受け止めながら、冷静に必要な説明や手続きを進めなければなりません。悲しみに共感することと、業務上の判断を保つことの両立が求められます。
2.遺体の状態や感染対策に対応する必要がある
遺体の状態は一様ではなく、事故などで損傷がある場合もあります。感染症の可能性がある場合には、適切な防護具や衛生管理の手順が欠かせません。搬送そのものが認められない、または制限される場合もあるため、状況に応じた判断が必要です。
3.海外の制度や関係者との調整が複雑
現地の行政機関や警察、医療機関、葬儀社、航空会社など、関係者は多岐にわたります。書類の取得に時間がかかることもあり、時差を考慮しながら連絡を続ける必要があります。予定どおりに進まないときも、代替手段を検討し、遺族に状況を説明する力が求められます。
4.勤務時間が不規則になりやすい
海外での死亡は、国内の営業時間に合わせて発生するわけではありません。緊急の連絡や手配、夜間・休日の対応が必要になる可能性があります。ただし、実際の勤務形態は会社によって異なるため、すべての職場が24時間の常時待機を求めるわけではありません。
この仕事に向いている人
- つらい状況にある人に、落ち着いて丁寧に接することができる人
- 複数の書類や手続きを正確に管理できる人
- 予想外の変更が起きても、優先順位を整理して対応できる人
- 語学や異文化理解を学び続ける意欲がある人
- 故人と遺族の尊厳を守りながら、チームで仕事を進められる人
反対に、勤務時間を厳密に固定したい人、死や遺体に関する業務に強い抵抗がある人、突発的な変更への対応が極端に苦手な人は、仕事内容を十分に理解してから応募を判断する必要があります。精神的な強さだけを求めるのではなく、研修、相談体制、休暇、業務分担など、働く人を支える仕組みが整っているかも確認したいところです。
【エンジェルフライトは実話?】佐々涼子の原作と2026年の映画版
国際霊柩送還士という仕事を広く知らしめた作品の一つが、作家・佐々涼子氏のノンフィクション『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』です。集英社の公式受賞記録によると、同作は2012年の第10回開高健ノンフィクション賞を受賞しました。
原作は、国境を越えて遺体や遺骨を故国へ送り届ける仕事に取材を通じて迫り、遺族、現場スタッフ、創業者、ドライバーなど、国際霊柩送還に関わる人々の姿を描いた作品です。集英社の紹介文では、海外で亡くなった日本人の搬送だけでなく、日本で亡くなった外国人を母国へ送り出す仕事にも焦点が当てられています。
ドラマ版と映画版の違い
ドラマシリーズ『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』は2023年に配信が始まり、米倉涼子氏が主人公の伊沢那美を演じました。現場で働く人々と、突然の別れに直面した遺族の物語を通じ、普段は表に出にくい国際搬送の仕事を描いています。
続編となる『エンジェルフライト THE MOVIE』は、2026年2月13日にPrime Videoで世界独占配信が始まりました。Amazonの公式発表によると、映画版も佐々涼子氏の原作を基に、古沢良太氏が脚本、堀切園健太郎氏が監督を担当。米倉涼子氏、松本穂香氏、城田優氏、遠藤憲一氏ら、ドラマシリーズの出演者が再集結しています。
映画版では、主人公の那美がメキシコでの送還業務に向かう一方、過去に海外で安否不明となった恋人に関する情報と向き合う物語が描かれます。故人を送り届ける仕事と、残された人々が抱える思いを重ね合わせる構成です。
実話とドラマの描写はどこが違うのか
作品の基盤となっている国際霊柩送還という仕事や、その実務に携わる専門会社の存在は実在します。集英社の受賞記録では、エアハース・インターナショナル株式会社が日本初の専門会社として紹介され、1995年のネパールでの邦人遭難事故に伴う遺体搬送業務など、実際の活動が記されています。
一方、ドラマや映画は、実在する仕事を題材にしたエンターテインメントです。主人公の人物像や恋愛関係、個々のエピソードの構成を、原作のすべての出来事がそのまま映像化されたものとして捉えるのは適切ではありません。実際の仕事には、法的手続き、輸送条件の確認、書類作成、保管や移動の手配、遺族への説明など、地道な業務が数多くあります。
ドラマの感動的な場面を通じて仕事の意味を知ることはできますが、職業理解には、実際の業務内容や採用条件、費用、勤務形態も合わせて確認する必要があります。
【国際霊柩送還士】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:国際霊柩送還士になるために国家資格は必要ですか? A1:国際霊柩送還士という名称に対応する国家資格はありません。未経験から関連する搬送業務を目指すことは可能ですが、応募先によって運転免許、語学力、パソコン操作、葬祭実務などの条件が異なります。エンバーミングを専門に行いたい場合は、IFSA認定エンバーマーなど、別の教育・認定制度を確認しましょう。
Q2:国際霊柩送還士の年収はいくらですか? A2:国際霊柩送還士だけを対象にした公的な平均年収はありません。参考として、厚生労働省のjob tagでは、2025年の賃金構造基本統計調査をもとにした葬祭ディレクターの賃金(年収)が全国402.7万円とされています。ただし、これは国際霊柩送還士の平均年収ではありません。実際の給与は、勤務先、担当業務、経験、各種手当によって変わります。
Q3:海外で亡くなった家族を日本へ搬送する費用はいくらですか? A3:一般的な目安は約100万〜150万円ですが、国や地域、航空運賃、遺体の状態、必要書類、保管期間などによって変動します。基本パッケージ料金に航空運賃や国内搬送費などが含まれない場合もあるため、総額の見積もりを取りましょう。海外旅行保険の補償対象も確認してください。
Q4:エンバーマーと国際霊柩送還士は同じ職業ですか? A4:同じではありません。国際霊柩送還士は、国境を越えた搬送に関わる手続きや調整を担う職種です。エンバーマーは、エンバーミングという遺体の衛生保全などの専門的な処置を行う人を指します。国際搬送の業務にエンバーミングが関係する場合はありますが、全員がその処置を担当するわけではありません。
Q5:未経験でも国際霊柩送還の仕事に就けますか? A5:未経験者を受け入れる搬送関連の求人はあります。ただし、国内の搬送スタッフと国際搬送の専門職では、担当業務や必要な知識が異なります。まずは葬儀社や搬送会社で経験を積む方法のほか、国際搬送を扱う会社の事務・調整職に応募する方法もあります。募集要項で海外搬送の有無や研修制度を確認してください。
まとめ:2026年に国際霊柩送還士を目指すための判断基準
国際霊柩送還士は、海外で亡くなった人を故国へ送り届け、遺族が最後のお別れをするための環境を整える仕事です。搬送そのものだけでなく、現地当局の手続き、必要書類の準備、遺体の保全、航空輸送、到着後の引き渡しまで、幅広い実務を担います。
2026年時点で、国際霊柩送還士という名称の国家資格はありません。未経験から関連職種を目指す道はありますが、専門性を身につけるには、葬祭実務、遺体の取り扱い、語学、事務処理、関係者との調整などを段階的に学ぶ必要があります。エンバーマーを目指す場合は、IFSAの認定制度と養成校の条件を別途確認しましょう。
仕事を選ぶ人にとっては、給与だけでなく、夜間・休日対応、研修、感染対策、遺族対応の支援体制が重要な判断材料になります。一方、海外で家族を亡くし、搬送方法を検討している人は、在外公館への相談と専門業者の見積もりを並行して進め、現地での火葬・遺骨搬送という選択肢も含めて検討することが現実的です。
『エンジェルフライト』が伝える仕事の意義は、国境を越えて故人を運ぶことだけではありません。制度や言葉、文化の違いを乗り越え、遺族が別れを迎えるための道筋を整えることです。その役割を理解することが、職業を目指す人にも、いざというときに専門家の助けを必要とする人にも、最初の一歩となります。 (出典: 国際 霊柩 送還 士(Yahoo!ニュース))