【結論】「韓国のイチロー」は誰?元祖・李鍾範から李政厚まで
「韓国のイチロー」という呼称を理解するうえで、まず区別したいのが、元祖とされる李鍾範、同じ愛称で知られる李炳圭、そして現代の韓国野球を代表する李政厚の3人だ。

人物別の基本情報
李鍾範(イ・ジョンボム)
1970年生まれ。ヘテ・タイガース、起亜タイガースで活躍した内野手・外野手。俊足と打撃、守備を兼ね備え、1990年代の韓国球界を代表するスターとなった。
李炳圭(イ・ビョンギュ)
1974年生まれ。LGツインズを中心に活躍した外野手。通算2000安打を超え、首位打者2回を獲得した好打者で、李鍾範と並んで「韓国のイチロー」と呼ばれた。
李政厚(イ・ジョンフ)
1998年生まれ。李鍾範の息子。KBO通算打率.340、首位打者2回という実績を残し、2024年にサンフランシスコ・ジャイアンツへ移籍した。
3人に共通するのは、長打だけに依存せず、安打を生み出す能力を高く評価されてきたことだ。ただし、同じ愛称を持つからといって、打撃フォーム、走塁能力、守備位置、実績まで同一というわけではない。
【愛称の由来】なぜ「韓国のイチロー」と呼ばれるのか
愛称の背景には、日本のイチローが日米の野球ファンに強烈な印象を残したことがある。イチローはオリックス時代から安打製造能力と俊足、外野守備で知られ、1990年代の日本球界を代表する選手だった。
その時期に韓国で頭角を現した李鍾範も、走攻守を高い水準で備えた選手だった。ヘテ・タイガースで活躍した1993~1997年は、イチローが日本でプレーしていた時期と重なる。打率を残すだけでなく、走塁や守備でも試合の流れを変えられる選手という共通点から、「韓国のイチロー」という呼び方が定着した。
ただし、愛称が生まれた経緯について、特定の人物が最初に命名したと断定できる公的記録が広く確認されているわけではない。一般に知られるのは、当時のプレースタイルや活躍時期をイチローになぞらえた呼称だという点である。
李鍾範には、韓国語で「風の息子」を意味する「バラムイ・アドゥル」という別の愛称もある。これは俊足を象徴する呼び名で、「韓国のイチロー」が打撃や走攻守の総合力をイチローになぞらえた表現であるのに対し、こちらはスピードに焦点を当てた呼称だ。
李炳圭の場合も、コンタクト能力や安打数の多さが愛称との親和性を生んだ。したがって、「韓国のイチロー」は選手を正式に認定する称号ではなく、優れた打撃技術や総合力を伝えるために使われてきた野球メディア上の呼び方と捉えるのが適切だ。
【実績を比較】李鍾範・李炳圭・李政厚の成績と経歴
3人の実績を比較すると、同じ愛称でも評価されるポイントが異なることが分かる。以下は、韓国野球委員会(KBO)の記録、聯合ニュースの引退報道、MLB公式の選手情報などに基づく主な記録の整理だ。
注:李鍾範・李炳圭の通算打率・安打数はKBOでの成績。李政厚の通算成績は2023年までのKBO記録。日本での在籍年は球団経歴に基づく。
李鍾範は、KBO通算1,706試合で打率.297、1,797安打、194本塁打、730打点、510盗塁を記録した。1994年にはリーグMVPと首位打者を獲得し、ヘテ・タイガース時代から起亜タイガース時代まで、韓国野球を代表する選手として名を残した。
李炳圭は、KBO通算1,741試合で2,043安打、打率.311を記録。聯合ニュースの2016年11月25日付引退報道によると、首位打者2回、最多安打4回、ゴールデングラブ賞7回という実績を持つ。特に安打を積み重ねる能力は、イチローになぞらえられる理由の一つだった。
李政厚は、KBOでの通算打率.340が最大の特徴だ。韓国野球委員会の通算打者記録では、884試合で1,181安打を放ち、通算打率ランキングの上位に位置している。2021年は打率.360、2022年は打率.349で、2年連続の首位打者に輝いた。
数字を比べる際には、通算打率と通算安打を同じ意味で扱わないことも大切だ。李鍾範は走塁と長打も含めた総合力、李炳圭は長年にわたる安打の積み重ね、李政厚は高い打率と若い時期からの安定した打撃が、それぞれのキャリアを特徴づけている。
【父から息子へ】李鍾範と李政厚の親子関係
李政厚を語るうえで欠かせないのが、父・李鍾範の存在だ。李鍾範が韓国野球界で築いた名声は大きく、息子もその系譜を受け継ぐ選手として注目を集めた。
しかし、李政厚の実績を単純に「父親譲り」と片付けるのは正確ではない。MLB公式の選手紹介によると、李政厚は2017年のKBO新人シーズンに打率.324、179安打を記録し、新人王を獲得した。高卒新人としてKBOの全試合に出場した選手としても記録に残るキャリアのスタートだった。
2019年には打率.336を記録し、キウム・ヒーローズのポストシーズンでも活躍。父が1993年の韓国シリーズでMVPに選ばれ、息子も2019年にプレーオフMVPを獲得したことは、MLB公式の経歴紹介でも触れられている。父子がそれぞれポストシーズンのMVPを獲得した点は、親子の野球史を象徴するエピソードだ。
李政厚の強みは、単に有名選手の息子であることではない。2021年と2022年に首位打者を獲得し、KBO通算打率.340という数字を残したことが、MLB挑戦を支える客観的な実績になった。
また、韓国のイチローという呼称が父から息子へ移ったと表現されることがあるが、これは正式な称号の継承ではない。父の時代に使われた比喩が、息子の打撃スタイルや国際的な活躍を語る際にも再び用いられるようになった、という理解が実態に近い。
【2026年最新】李政厚のジャイアンツでの評価とトレード報道
李政厚は2024年にサンフランシスコ・ジャイアンツへ移籍した。契約は6年総額1億1,300万ドルと報じられ、韓国球界で残した実績に対するMLB側の期待の大きさがうかがえる。
MLB挑戦後の成績は、KBO時代の打率.340と直接比較するだけでは評価しにくい。投手の球速や変化球の質、対戦相手の分析、守備位置や打順など、環境が大きく変わるためだ。2024年は故障の影響もあり出場が限られ、2025年には150試合に出場して打率.266、8本塁打を記録した。
2026年は、シーズン中にトレードの可能性が報じられた点も話題になった。米メディアでは、8月3日のトレード期限を前に李政厚の名前が候補として浮上した一方、ジャイアンツに残すことが合理的だという見方も伝えられた。期限までに移籍は成立せず、李政厚はジャイアンツでシーズンを続けた。
成績面では、2026年9月18日のロサンゼルス・ドジャース戦でシーズン10号本塁打を記録した。MLB公式の試合映像によると、タイラー・グラスノー投手のナックルカーブを右翼へ運ぶソロ本塁打だった。韓国メディアのSBSも翌19日、米国移籍後初の2桁本塁打到達を報じている。
Baseball Savantに掲載された2026年シーズンの記録では、李政厚は143試合、打率.276、149安打、10本塁打、57打点、12盗塁を記録した。KBO時代の突出した打率と比べると数字は下がっているが、MLBで一定の出場機会を確保し、安打と走塁を組み合わせた働きを続けていることも評価材料となる。
ただし、トレード候補に挙がったという事実だけで、球団が李政厚を不要と判断したと解釈するのは早計だ。トレード報道は、チームの勝敗、年俸、契約期間、補強方針など複数の要因が絡む。実際の評価は、移籍説よりも出場機会、成績、守備、チーム内での役割を合わせて判断する必要がある。
【イチローとの比較】共通点と、混同してはいけない違い
「韓国のイチロー」という表現は、3人の選手を理解する入口にはなる。しかし、イチロー本人と同じ成績や選手像を持つという意味ではない。
共通点として挙げられるのは、安打を生み出す技術、コンタクト能力、走塁を含む攻撃面の多様性だ。特に李鍾範は、俊足と打撃を兼ね備えた選手として1990年代に評価され、李炳圭は高い通算安打数と首位打者獲得歴によって好打者としての地位を築いた。李政厚もKBOで高打率を残し、MLBでも安打を重ねるタイプの打者として注目されている。
一方、イチローは日本と米国の両方で長期にわたって実績を積み、MLB通算3,000安打を超えた歴史的な選手だ。韓国の3人は、それぞれ異なる時代とリーグ環境で活躍しているため、愛称だけを根拠に実力を同等と評価することはできない。
また、韓国のイチローという呼び方は、時代によって指す人物が変わりうる。1990年代の李鍾範、2000年代以降も安打製造能力で知られた李炳圭、そしてMLBでプレーする李政厚というように、メディアが注目する選手に応じて使われ方が広がってきた。
検索結果で「韓国のイチロー」とだけ記されている場合は、記事の掲載年、所属球団、選手の生年を確認すると混同を避けやすい。韓国の元祖を知りたいなら李鍾範、同じ愛称で知られた別の好打者なら李炳圭、2026年のMLBの話題を追うなら李政厚、という整理が分かりやすい。
【韓国のイチロー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「韓国のイチロー」は結局誰のことですか?
元祖として知られるのは李鍾範です。李炳圭も同じ愛称で呼ばれており、現在はMLBでプレーする李政厚を指して使われることもあります。
Q2:李鍾範と李炳圭は中日ドラゴンズでプレーしたのですか?
はい。李鍾範は1998~2001年、李炳圭は2007~2009年に中日ドラゴンズでプレーしました。所属時期は異なり、いずれも韓国球界での実績を経て日本に挑戦した選手です。
Q3:李政厚のKBO通算打率.340は本当ですか?
はい。韓国野球委員会の通算打者記録では、李政厚はKBO通算打率.340を記録しています。2021年に打率.360、2022年に打率.349で首位打者を獲得しました。
Q4:李政厚は2026年もジャイアンツに所属していますか?
はい。2026年のトレード期限前には移籍の可能性が報じられましたが、トレードは成立せず、シーズンはジャイアンツでプレーしました。9月18日のドジャース戦ではシーズン10号本塁打を記録しています。
【プロの結論】愛称の知名度より、時代と実績で評価する
「韓国のイチロー」という呼称には、韓国野球の歴史と、安打を量産する選手への評価が凝縮されている。李鍾範は走攻守の総合力で1990年代の韓国球界を代表し、李炳圭は2,043安打と打率.311という数字で長く活躍した。そして李政厚は、KBO通算打率.340と首位打者2回の実績を携え、MLBという新しい舞台で評価を積み重ねている。
3人を正しく理解するための判断基準は、愛称の有無ではなく、誰のどの時代の記録なのかを確認することだ。韓国球界での実績、日本でのプレー、MLBでの現在の成績は、それぞれ分けて見る必要がある。
2026年の李政厚を評価するなら、KBO時代の打率だけでなく、MLBでの出場数、安打数、本塁打、打点、走塁、守備、球団内での役割を継続して見ることが重要になる。「韓国のイチロー」は一人の選手に固定された名前ではない。李鍾範から李炳圭、そして李政厚へと、韓国野球の異なる時代をつなぐ愛称なのである。 (出典: 韓国 の イチロー(Yahoo!ニュース))